猫に多い病気の一つで尿路結石がありますが、原因によって2種類あるってご存知でしたか?
原因によってかかりやすい時期や対処法も変わってくるので、病院で治療やアドバイスしてもらうのはもちろんですが飼い主さんも知っておいて損はない情報です。
予防法も知っておくと罹患率を下げる事ができるかもしれませんので要チェックです。
猫の尿路結石は2種類ある!
人間でも結石ができるという話はよく聞きますが、猫にもよくある病気なんです。
猫の場合は「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」が多く、この2種類で結石全体の約80%を占めます。
何が原因で結石ができるのかまでは知らない方が多いと思いますので、今回は原因や症状、予防法などをお伝えしていきます。
猫の尿路結石は何故多いのか?
尿路結石とは尿の中に溶けているミネラルなどの成分が尿中に溶けきれなくなり、尿路内で結晶化・結石化したものをいいます。
猫の先祖は砂漠で狩りをして生活していたので、乾燥地帯であまり水を飲まず体内の水分を節約する為に濃いおしっこを作ると言う性質があります。
濃い尿からはやはり結石ができやすいようです。
結石は腎臓、尿管、膀胱、尿道など色々な部位でできるので、できた部位によって「膀胱結石」や「尿道結石」などと呼び方が変わります。
結石リスクが高いのは?
一般的にオスとメスで比べた場合オスの方が結石リスクが高く、重症化しやすいと言われています。
結石のできやすさ自体はオスとメスで差はありませんが、体の構造上オスの方が尿道が細くて長いので小さな結石でも症状として現れやすいという事なんです。(逆にメスは尿道が短いので膀胱炎になりやすいようですが・・・。)
特に去勢済みのオス猫は要注意です。
現在は生後半年から10か月の間頃(スプレー行為などが始まる前、初めての発情期を迎える前)に去勢手術を推奨している獣医が多いようですが、明らかにまだ未発達な時期に手術をして成長を止めてしまう事になります。
未去勢のオス猫と比べるとやはり見るからにサイズが違うようです。
サイズが小さいという事はその中を通っている尿道もやはり細いという事なので、結石も詰まりやすいって事なんですね。
あとは肥満気味なにゃんこも尿道が圧迫され、同じように尿道が細くなるので結石リスクが高くなるようですので普段から摂生は大事ですね。
結石ができてしまうと?
結石ができると症状としては
- おしっこに行く頻度が増える
- トイレ以外の所でおしっこをしてしまう
- トイレにいる時間が長い
- おしっこが少ししか出ない
- おしっこに血が混じっている
などがあり、いつもと違う事に気付いてあげられる様に普段から気にかけてあげる事が大事です。
最悪のケースでは結石が尿道に詰まっておしっこが出ない尿閉から尿毒症となり、命に係わる状況になってしまう事もあるので注意が必要です。
尿路結石の原因とは?
尿路結石の原因は「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」で違います。
この2つの尿石は結晶化しやすい尿pH値や発症しやすい年齢が異なるので、それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
pH値とは?
まず尿路結石の話でよく出てくるpH値ですが、これは尿が酸性かアルカリ性かを示す指数の事で0~14までの数字で表します。
理科の授業で使ったリトマス試験紙ってありましたよね?あれです。
pH=7が中性で7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性となります。
健康な猫の尿のpH値は6.2~6.6と言われており弱酸性という事になりますね。
これは使いやすくて便利です。
ストルバイト結石とは?
マグネシウム由来のストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)結石です。
こちらは酸性で溶ける性質をもっており尿pH値がアルカリ性になると(pHが6.6以上)結晶化しやすくなり、1~7歳の比較的若い猫に多い尿石と言われています。
うちのゆっちゃんもまだ1歳なので気を付けないとです。
結石ができる仕組みとしては尿素が分解されてアンモニアができる→尿がアルカリ性に傾く→尿に溶け出したリンやマグネシウムがアルカリ性の液体に溶けにくい→結晶化すると言う流れです。
せめてもの救いなのはストルバイト結石は食事療法や薬を使って溶かすことができると言われている事です。
大きさや個数によっては外科的な手術が必要なケースもあるようです。
シュウ酸カルシウム結石とは?
次にカルシウム由来のシュウ酸カルシウム結石です。
こちらはストルバイト結石とは逆で尿pH値が酸性になると(pHが6.0以下)結晶化しやすくなり、8歳以降の高齢~老齢期の猫に多い尿石と言われています。
シュウ酸はカルシウムと結びつきやすい性質があって、通常は腸の中でカルシウムと結びつき便としてそのまま排出されます。
でも腸内のカルシウムが少ない場合、余ったシュウ酸は尿として排出されてしまいます。
尿が酸性に傾き尿中のカルシウム濃度が上がると、尿中でシュウ酸とカルシウムが結びつきシュウ酸カルシウムになり結晶化してしまうのです。
しかも厄介な事にシュウ酸カルシウムは一度できてしまうと食事療法では溶かす事ができないので、手術が必要になってしまう事が多いです。
尿路結石を防ぐには?
ではどうすれば尿路結石を予防できるのか?
普段から気を付けるポイントを見ていきましょう。
ポイントはミネラル成分
猫の健康に欠かせないミネラル成分(カルシウム、リン、マグネシウムなど)ですが、お互いに結びついて働く成分なのでどれかひとつの量に注意すれば良いというわけではなく、猫にとって良いバランスになっているかと言う比率が重要です。
猫にとって理想的なバランスはカルシウム:リン:マグネシウム=1:0.8:0.08と言われています。
このバランスが崩れると様々な問題が発生してきます。
ミネラル成分はバランスが大事
リンとカルシウムが結びつくと「リン酸カルシウム」となり骨の主成分となります。
リンがカルシウムより多いと骨を溶かして足りない分のカルシウムを取り出そうとする事もあるので、カルシウムがリンより少し多めのバランスが丁度いいのです。
そしてマグネシウムがリンより多いと尿中で結びつきストルバイト結石の原因になるので、マグネシウムがリンより少なめのバランスである事はストルバイト結石予防になるんですね。
ただ勘違いする方が多いのですが、マグネシウムだけを制限すれば尿路結石を防げるわけではありません。
マグネシウムが多いと確かにストルバイト結石になりやすいですが、逆に少なすぎるとシュウ酸カルシウム結石の可能性が高くなるのでマグネシウムを適度に抑え、なおかつカルシウムやリンとのバランスをとって摂取する事が大事です。
上手に水分補給をする
やはり普段から上手に水分を取っておしっこの濃度を下げる事も、結石を予防する事につながると思います。
ただ人間の子供であればお水飲んでねと言えば済む話も、にゃんこ相手にはそうもいきません。
なかなか水を飲んでくれなくて困っている飼い主さんも多いのではないかと思います。
にゃんこに上手く水を飲んでもらう為のコツがあるのでコチラの記事も参考にしてみて下さい。
猫の尿路結石症は2種類ある!のまとめ
何事もバランスが大事という事ですね。
言わずもがな普段から食べているフードも成分バランスの取れたフードの方が病気の発症リスクを抑える事ができますし、ちゃんと水分が取れるようにこまめに水を交換してあげる事も重要です。
最近は療法食とまで言わなくても尿を酸性に保つ作用をもっているクランベリーやメチオニンを含んでいる一般フードも見かけるようになってきたので、そういったものを取り入れるのも予防になりますね。
フードを変えた場合などに様子を見たり、気になる場合は簡単にpH値をはかる事ができる「pH試験紙」も数百円で販売されています。
そう言ったものを使って日々pH値が極端に偏ったりしていないかチェックしてあげるのもいいと思います。
尿路結石は一度発症すると再発する可能性がすごく高い病気なので、「慢性化して治療が難しくなる」なんて事になる前に予防してあげたいですね。
いずれにしても、もし発症してしまった場合は勝手に判断せず、ちゃんと獣医師の指示に従って対応しましょう。
病気してしまうと保険には加入できなくなってしまいますので、その前に10分だけこの記事を読んでみて下さい。
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