高齢になってくると内臓疾患のリスクはどうしても高くなってきますが猫の病気としてよく例に挙げられるものに慢性腎不全があります。
犬と猫の比較でも確かに腎臓病にかかる猫は犬よりも多く10歳以上のシニア猫のうち3割前後は腎臓病を患っていると言われています。
思ったより随分多いのね。
治療も長期にわたって続く事が多いので出費もかさむ事が予想されます。
この記事では実際に治療費がどのくらいかかるのか?原因や予防法はあるのか?という事をお伝えしていきます。
猫はなぜ慢性腎不全にかかりやすいのか?
人間の場合は高血圧や糖尿病が原因となるケースが多い様ですが猫の場合は一概にそうとは言えないようです。
特に太っている猫に多いという訳でもないようですし、獣医さんと世間話の中で聞いた時にも猫に多い理由はよくわかっていないとの事でした。
腎臓の代表的な働きは尿を作る事なので「猫の水分を効率的に使う為に濃縮した尿を排出する性質」が原因ではないかと言う説もありますが医学的な裏付けは取れていないようです。
猫の慢性腎不全の症状とは?
猫の慢性腎不全はゆっくりと徐々に進行していくので最初のうちはなかなか気付かない事も多い様です。
目に見える変化としては水を沢山飲む様になりオシッコの量や回数が増える事です。
その為もともとは濃いオシッコをしていたのに段々と薄くなりニオイもあまりしなくなってきます。
この段階では腎臓の機能のうち60%くらいが既に失われているらしいよ。恐ろしい~。
そして食欲が低下してきてさらに悪化すると尿毒症を引き起こしてしまいます。
尿毒症とは腎臓の機能が著しく低下して通常はオシッコと一緒に体の外に排泄される有害物質(窒素化合物)がうまく排泄されず体内にたまっている状態です。一刻も早く治療を行わないと死に至るとても危険な病気です。
腎臓が徐々に炎症を起こして線維化し、腎機能がどんどん衰えて最終的には全く機能しなくなります。
猫の慢性腎不全の治療法とは?
残念な事に腎臓の組織は一度壊れると今の医学では元に戻す事はできないので、一度慢性腎不全にかかったら完治する事は難しいと言われています。
治療の方針としては残っている腎機能を出来るだけ長持ちさせて、現状維持や病気の進行を遅らせる事が中心になります。
腎臓に負担をかけない様に「低タンパク」「低ナトリウム」の食事を与える食事療法や、脱水症と尿毒症の対策として行う皮下輸液の様な症状を抑える対症療法が中心となります。
皮下輸液に関しては獣医の判断や経験則に基づいて行われている様なので病院によって方針や頻度、トータルでかかる料金などに結構な差があるようです。
一方,動物における皮下輸液の報告は これだけ日常的に用いられているにもかかわらずにその報告は殆ど無く,十分な実験的および理論的根拠が無いまま経験に基づいて皮下輸液を行っているのが現状であり,多くは勤務した病院の模倣や,独自の手法で行っていると考えられる。(『動物臨床医学』2013 年 22 巻 1 号 p. 7-11より抜粋)
これが正解って言うスタンダードが実は無いのね。
人間と同じ様に「透析」や「腎臓移植」と言う方法もありますが費用の問題、ドナーの問題、猫へのストレスと言った面からあまり現実的ではないケースが多いと思います。
猫の慢性腎不全の治療費とは?
猫の慢性腎不全の治療にはどのぐらいの費用がかかるのでしょうか?
私の猫友達で今まさに慢性腎不全の治療中と言う猫ちゃんがいるので実際にかかっている1か月分の費用を教えてもらいました。
( 雑種 9歳 オス 現在闘病8か月)
・初診料 ・・・1000円
・血液検査・・・8000円
・尿検査 ・・・6000円
・皮下輸液・・・3000円
・内服薬 ・・・ 400円
初診後は5日ほど点滴や皮下輸液の為に毎日通院し1週間後にもう一度血液検査をしたりと言う事で最終的に1か月で65000円程かかったそうです。
・再診料 ・・・ 500円(血液・尿検査がない時は無し)
・血液検査・・・5000円(項目を少なくして検査)
・尿検査 ・・・3000円(項目を少なくして検査)
・皮下輸液・・・3000円
・内服薬 ・・・ 700円
今は猫自体を連れて検査するのは月に1回だけで、あとは週2回自宅で皮下輸液を行っているそうでそれを取りに行くときは薬や輸液セット代だけだそうです。
腎臓サポートのロイヤルカナンも含めると毎月大体40000円前後との事でした。
え~そんなにかかるの?
闘病期間がどれだけ続くかは分かりませんが継続して多額の治療費がかかるのは確かです。
まとめ:セカンドオピニオンも検討
猫が若いうちから腎臓に負担をかけない様にフードなど食生活は気にかけてあげる事が大切だと思います。
出来るだけ初期段階で気付いてあげられる様にオシッコの頻度やトイレの中にいる時間を常にチェックし、異変を感じたら早めに動物病院で診察を受けましょう。
にゃんこは繊細だからね。
あとは病院によって治療方針も治療費も結構差があると思うので、不安や疑問を感じた時にはセカンドオピニオンも検討してみると状況が変わるかもしれません。
長く重い治療費の負担を軽くできる保険についても健康なうちに検討しておきましょう。
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